ハミだし葉

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2月のよかったもの

先月はこちら

●Chinozo『ベビーデーズ』『マザーデイズ』

元はといえば前から好きだったいよわさんが新曲を出していた

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これ自体もとても良い曲なんだけど、MVのクレジットを見てこれは『まいまいごえん』とのタイアップ曲だと知る。

その時、正直「あ~」と思った。というのもまいまいごえんのことは以前から知っている。

最初に話題になった頃に漫画版の1話を読んだことがあり、その時に「もう2度とこの作品には触れない」と心に誓ったからである。なぜならめちゃくちゃ怖かった

だから、最初は触れることに抵抗があった。でも楽曲に罪はないしボカロPとタイアップの試みも面白いと思う。そしてつづみぐさと同日に他のPもまいまいごえんタイアップ曲を発表したと聞いたので、軽い気持ちで『マザーデイズ』を再生した


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見た瞬間そういうことねと納得した。

「多分このピンクの子(多分マリアちゃん)は愛が重いタイプのヤンデレガールで、このおさげの子(多分ヒカルちゃん)のことを一方的に思ってる感じなんだろうな~~~~」
↑違いました

そう知ったのは楽曲そのものを好きになったので気に入って何度か聞いていたある日、同作者が以前に『ベビーデーズ』という曲を出していたことに気づいたから。タイトルからして明らかにアンサーソング。というかマザーデイズ自体がこれと対になる曲だったのか。サムネ、おさげの子だし……と再生したのが最後


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あれっ、なんかヒカルちゃん、マリアちゃんより重くない???エッなんかヒカルちゃんの方が一方的に迫っているような……?アッ「キスしようね」のメロディが一緒なの良いッ

そして気づいたらこの2人のことが頭から離れなくなっていたんだ……。

前置きが長くなってしまいましたがということで誓いを破りプレイしました。まいまいごえん。タイアップ曲で興味を持ち、ブラウザでできる無料ゲームだと知り軽い気持ちで手を出す……という公式が敷いた通りのめちゃくちゃわかりやすい動線に乗ってしまった

結論から言えば誓いを破ってよかったと思えるくらい良かったです。ゲーム自体は良くも悪くも一本道でシナリオに影響する選択肢も(現時点では)ほぼないんだけど、それが私みたいなストーリーを早く知りたい人間には最適だった。園児たちもキャラデザがハッキリしてるから大人数でも割とスッと頭に入ったし、この幼稚園児という年齢の幼さも最初抵抗があった要素だったんですが、子供っぽい言動に対する説得力があったから意味がある設定なんだと思えて印象変わりました。まだ1話なので、続きもプレイしたらまた書きます。

個人的には1話時点でヒカルとマリアの掘り下げがあったのもありがたかったですね(ヒカルとマリアの関係を知りたかったのが動機なので)。「あたしがパパでマリアがママ」「あたしとマリアは結婚するの」とか園児が抱いていい感情のデカさじゃない。

それにより曲の良さもより深いところで味わえるようになったのでこの2曲もより好きになりました。でも今のところゲームよりも漫画よりもMV版のヒカルとマリアが1番好きです。感情がめちゃくちゃデカいので。

特に「キス」の歌詞の対比がめちゃくちゃ好き。というか恋愛感情をとっくに凌駕した巨大感情を互いに抱き合ってるのにそれをとりあえず恋愛になぞらえてキスしたり接触を試みる2人が好きすぎる(ヒカルの「キスしたい」に対してマリアの「キスしてみて?」めっっっっちゃよくないですか?)

ボーカルがそれぞれflowerと可不なのもいい。ボーカロイド機械的な印象と比べるとかなり人に近い声で歌える部分が個人的にこの2人のボイスって自分の中でかなり近い部分にカテゴライズされているんですが、ヒカルがちょっと大人びた印象のflowerで、マリアがほわほわかわいいけど芯を感じる可不なのが対比としてもすごく好き。

特にマリアの可不ボイスのマッチ具合は異常だと思う。声としてかわいいのもあるし、個人的にイメージしてたCVとも近くてこの歌声のおかげで作中のマリアに対する解像度も高まったと思う。

●TOOBOE『心臓』


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今月最も衝撃を受けたMV。最初見たとき呆気にとられすぎていい意味で曲の印象が頭に残らなかった。実写の背景やリアルな動き、視点は一人称で進むのにカートゥーンチックな絵柄の組み合わせがすごくいい(ちょっとガムボールも思わせる)。そしてゾンビものなのに街がパニックに陥ることはなく道行く全員が主人公に冷ややかな視線を投げかけるだけの静かな切なさからはじまり主人公に襲い掛かるのもゾンビだからとかではない(もちろんそれもある)悲劇ばかりで、救いというものが一切ない。

そのストーリーにも感動したけどゾンビになったのでゆったりとした動きを続ける主人公がサビの盛り上がりに合わせて暴れまわる曲に合わせた演出も好きだし、腕を噛みちぎるシーンはこれでもかと痛みが伝わってくるくらい鬼気迫っていて圧巻。激痛で視界が歪んで心臓が激しく動く感じがリアルすぎて、なんでゾンビなのに痛覚残ったままなんですか……。表情がなくても視界で主人公の感情や痛みが伝わる表現すごすぎるし、それでいて冷静に改札を通ったり自転車に乗ってるシーンではクスッとなってしまう。警察3人も主人公的には敵の位置づけなのにかっこよすぎるし、奥さんかわいいし間男も何気に男気を見せているのも好きだ。

曲もめちゃくちゃ好きですね……。もちろん音楽あってこそのMVだし、「巡り会ってしまうよ逃げ出してしまいたくなる人に」をはじめとする恐ろしいほど魅力的でそれでいて手が届かない相手に対する憧憬と強烈な苦しみを内包した愛への渇望がめ~~~~~~っちゃくちゃ好きです。


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こちらも救いがなくてよかった。心臓を上回る過激さだけど、キャラの表情の変化や動作1つから細かい感情の動きを感じられるのがいい。

ピノキオピー『匿名M』


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度肝を抜かれたの一言。

まずARuFaさんとインタビュアーとしてコラボしているのも驚きだったけど、曲……というかインタビューの内容にピノキオピーのミクに対する思いの強さを感じた。ずっとミクに曲を書いてきたピノキオピーだからこそ言わせられる歌詞。

映像のオモコロ記事をオマージュしてる感じも面白いし、ARuFaさんに対するリスペクトも感じた。

●ほかに今月聴いてた曲

・須田景凪(バルーン)『花に嵐』

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MVのセンスも曲のセンスも大好き!なめらかな動きに見惚れてしまうし、ミクがかわいい。あえて舌足らずな歌い方をさせていたり調教がめちゃくちゃ上手くて、人が歌うよりもこの曲における感情の機微が伝わってくると思う。これも匿名Mとはまた違う路線でミクに歌わせることに大きな意義がある曲だと感じました。

・須田景凪(バルーン)『ダーリン』

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同じく須田景凪(バルーン)さんの曲。個人的に「ダーリン」っていう言葉の響きが好き。花に風やシャルルといい、リアルな恋愛のすれ違い(多分)を等身大だけど劇的に描くのが上手いな……と思う。



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この摩訶不思議な感じのメロディがめちゃくちゃ好きで気づいたら何回も聞いていた。不思議の国のアリスモチーフは王道だけど、このMVのチェシャ猫ちゃん(多分)はチェシャ猫界隈の中でもかなりかわいいと思う。この雰囲気を形容するだけの語彙力がまだない。


●カルテット

アマプラで全話見ました。めちゃくちゃ面白かった

弦楽器奏者の男女4人がカルテットを組みルームシェアをするところからはじまるんですが、この4人が全員癖者ばかりだし基本的に全員偏屈。なので揚げ足を取り合うやりとりが賑やかで見ていて楽しかったし、それらで緩和しないととても見られないくらいヘビーな展開が続く。特に後半はオチをルーレットで決めてるのか?ってくらい剛速球をぶん投げてくるのもすごいし、それらがちゃんと意味のある設定だったのはもっとすごい。繰り出される超展開と共に流れる『おとなの掟』がこれまた気持ちよくて次へ次へと見てしまった。

基本は大人同士の腹の探り合いなんだけど全員が純粋だから嫌さはあまり感じられないし、「全員片思い」のキャッチコピー通り複雑な関係が展開されるにも関わらずかなり恋愛感情を割り切っていて恋愛のせいでドロドロになるシーンはそれほどなかったのも見やすかった(もっと大変なことになるけど)。

それぞれ欠落を抱えている4人が恋愛よりも遥かに先にある「共にいたい」という気持ちで肩を寄せ合うところがいい……そして欠落がなければ音楽はできない。ドーナツの穴のように。

群像劇としても恋愛模様としてもサスペンスとしてもめちゃくちゃ面白かったです。シリアスだけでもコメディだけでもない絶妙な空気感がなんともよかった。

そして家森諭高が強烈な男すぎた。なんなんですかこいつは?縦軸に全く絡まないくるるんマスコットみたいなポジションなのにどうしてこんなに心に残るんだ。なんなら1番印象的まであった。毎話見終わったあと本筋には全く関わってないのに家森諭高について思いを馳せてしまっていた。おもしれー男…………。

●探偵ロマンス

これも今月のめちゃくちゃ面白かったドラマ。全4話と短めだけど、それだけに主題がわかりやすかったし予算がかかってる感がすごかった。大正時代が舞台だからその時代を元にしたセットも今となってはむしろ異国情緒があって素敵だし、セリフの言い回しもおしゃれで身も蓋もない言い方をするとオタクがめちゃくちゃ好きなやつだと思います。だって探偵、作家、怪盗、踊り子…………オタクみんな好きでしょ!(?)推理作家志望の青年、平井太郎が探偵小説を書くために往年の名探偵、白井三郎に弟子入りするという書き出しだけでワクワクする。

本編ももちろんよくて、特に「お百のキスを拒んで『ロマンスは本当に好きな人としかしてはいけないんですよ』と諭していた住良木が三郎には(婦人の姿を借りる形で)キスをしたのだと気づいた瞬間鳥肌が立った。なるほど、だから探偵ロマンス……」←ネタバレです

個人的にはお百がめちゃくちゃツボでした。少女のような可憐な容姿と美しい舞で人々を魅了しながらも、理想の自分との性差に悩む魅惑の踊り子。

それでいて一人称は『僕』だし、男であることを隠しているわけでもないのに主人公の太郎でさえも性別を凌駕した美しさに手を伸ばしてしまうファムファタールっぷりが演じる世古口くんが元から持っている中性的な蠱惑感とドハマりしていた。傾国の美女?(実際はお百の方がオムファタールに翻弄された被害者である点も含めて)
声変わりを経た低い声を隠し、嘘の歌声を口パクで歌い続ける悲哀と世界に対する身を焼くような憎しみ。美しいけれど泥臭い生きざまがとても刺さった。

そして外見の美しさにドギマギしながらもお百の悲しみに寄り添い心まで愛そうとした太郎もよかったよ……。

星のカービィWiiデラックス

これは絶対に単独記事を書きます!!しかしこの最高さを伝えたいのでネタバレなしで触れますと、リメイクの理想形だと思う

今のところ「あ、そこ原作と変えちゃうんだ……」みたいな要素も一切なく(強いて言えばデデデのグラフィックが大幅に変わってるけどそれが1番大きい変化なレベル)、リメイクにあたり追加された要素も原作の持つテーマに添っている本当に隙のない完璧なリメイクだと思う。10年前から大好きな作品と、こんな理想的な形で再会できた嬉しさが体中にあふれている。カービィWiiを遊んだことがある人もない人もこれがはじめてのカービィって人にも全力でオススメできます。ボリュームあるけどその気になれば1日でストーリークリアできます。私は遊びすぎて親指が先に壊れました。


●暴太郎戦隊ドンブラザーズ ドン48話「9にんのドンブラ」

2月はドンブラザーズにとって最後の月でした。最終回を見終わった今、本当にめちゃくちゃ素晴らしかったし1年間ドンブラを見てきた全てが宝物だと心から言えるくらい最高の作品だったけど、それらは今後単独記事で語り尽くすとして今月の回では「9にんのドンブラ」が個人的な激アツ回でした。

脳人との癒着(癒着いうな)は序盤から引っ張ってきた要素だったけど、加入まで行っちゃうんだ!?の驚きと前話「ドンノーかいぎ」も含め「気づいたら仲良くなってたからなあなあで」「タロウの1票は100票だから」とかじゃなくちゃんと全員が納得して受け入れられるようになるまでの最後の一押しがなんとも美しくて。

今まで敵だった彼らを受け入れるかどうか、そこに立ちふさがる最後の砦が「脳人と関わりを持たないサブリーダーポジションである猿原真一」なのがまたいい。猿原の縦軸との繋がらなさがここにきて冷静に脳人との関係を俯瞰できることに繋がってるし、気付いたら仲良くなっていたタロウソノイ、はるかソノザ、犬塚にベタ惚れなソノニに対するカウンターにもなっている。それでいてソノニの色仕掛けに陥落しそうになったりするかわいさもあるから猿原ズルい!と思ってしまう。

もちろん脳人三人衆推しとしてはソノイの活躍も嬉しかった。特に猿原にザングラソードを託すシーン。回収したタロウの剣を抱えるソノイ、騎士すぎてカッコいい(消毒済みだけど)。そして続く「どうかな、君のことをそこまで信用していいのか……」と渋る猿原もめちゃくちゃいい……ここの猿原からはこれまでの威勢のよさが一切見られなかったからこそ「3人と力を合わせるのが最善だがどうしても信じることができない」という後ろめたさや1人残されてしまったことに対する不安や惑い、そんな中で仲間を取り戻さなければいけない焦りを強く感じられてドンブラ全体で見ても猿原のシーンでトップに好きかも。その後ソノイに対する信用を粋な形で表したのもよかったし、リーダーであるタロウではなくドンブラザーズの人間代表である猿原から認められたことが要となるのはまさしく脳人と人間が手を取り合った証だと思う。

最後、前半の言い争いが嘘のように微笑ましいやり取りをするソノザと猿原はじめ盛り上がるお供たちもかわいいし、そんな仲間たちを外から眺めるタロウ……で番組初期なら終わっていただろうところで犬塚とソノイが静かに理解を示したところもよかった………。それがこれまで敵だったソノイと最近合流した(そしてタロウに嫌いとまで言った)犬塚なのが良い。笑い合うタロウとソノイはもちろん、自分以外にもタロウに理解者がいたことが妙に嬉しそうな犬塚の表情も最高でした。タロウと(素顔での)付き合いは浅くともタロウが理解されたことを素直に喜べる、犬塚の不器用ながら人の好い部分が出てた。