先月はこちら
- ●sasakure.UK『アフターエポックス』
- ●いよわ『クリエイトがある』
- ●SAWTOWNE『M@GICAL☆CURE!LOVE❤SHOT!』
- ●電歌シャー
- ●¿?『ちそさま』
- ●その他今月よく聞いた曲
- ●爆上戦隊ブンブンジャー バクアゲ10『ウキウキなミッション』
●sasakure.UK『アフターエポックス』
すごすぎる……。
ポケミクの企画もひと段落というところで油断していたら大本命ともいえるものが来てしまって思わず震えたのが今月のハイライト。sasakure.UK氏の曲がマイブームだったのもありますが、曲映像共にすごすぎる。
本企画のトリだった『Glorious Day』はポケミクという企画の総括と言えるラストに相応しいものでしたが、アフターエポックスはいわばポケモンのすべて。
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▲事前発表では企画のトリを飾ったGlorious Day
冒頭からしてアニポケ1話をオマージュしながらの、赤緑~最新作SVまでを辿っていく演出がニクい!!しかもゲームのストーリーを直接なぞるのではなくこれまで舞台になった世界をミクが旅するような演出で、これが歴代の作品をプレイしているようでもあり「主人公ではない誰か」を通して各地を感じられるのが新鮮でもある。懐かしいんだけど、間違いなく新しいものを見ている感覚。これは初音ミクという存在の特殊さによるものだと思うんですが、それは後述するとして。
もう映像のいいところをピックアップしてったらキリがない!空を飛ぶのがバタフリーになり、アゲハントになり、ビビヨンになり……このカットだけでもう10000000点。「似たポジションのポケモンが出てくる」ことが一番シリーズの長さと世代の移り変わりを感じる部分ですからね。こうしてみると蝶ポケが出てくるのってちょうどハードが変わったり作品的にもテコ入れされているタイミングなのもあって、蝶ポケ一つ見てもこれまでの歩みを感じてしまう。それだけじゃなく、たった1カットでも「ソノオタウンだ!」とか「BWだ!!」って思わせる場所のチョイスも良い。
そして歴代の主人公やトレーナーたちと出会いそうで出会わない、けれど同じ世界には存在してる演出もめちゃくちゃ粋だ。そんな中でガッツリ出てくるのがミュージシャンであるネズさんなのが最高だし、手拍子と声援が入るアレンジで剣盾を表現してるところ鳥肌立つ。アレンジ1つで「剣盾っぽい!」と思わせるくらいジムBGMが印象的な剣盾もすごい。
本当に何回見ても感動するんですが……映像担当の革蝉さんが
ポケモンが好きな人も初音ミクが好きな人もポケミクが好きな人も、誰も置いて行きたくないなぁって気持ちで制作してたな
— 革蝉 (@aozukikawasemi) 2024年5月10日
とコメントされていたことにも胸を打たれてしまった。その覚悟通り、どの世代どのタイミングでポケモンを好きになった人も置いていかない作品だと思う。もちろん一曲では語り尽くせないほど多岐に渡るコンテンツがポケモンにはあり(だからこそ当企画ではこれまで個性豊かな曲が生まれてきた)その全てを表現するなんて中々できない。
けれど、アフターエポックスにはトレーナーなら誰もが知っているようなポケモンとの思い出がちりばめられているから、プレイしたことがない作品でも自分の体験と結びついて感動してしまうのだと思う。そしてそれはポケモン本体が作中で描いてきた出会いと別れ、それから「またね」が普遍的だからこそなのでは。それを拾っているから直接ポケモンを想起させるワードがなくてもポケモンを思い出せる曲になっているんだろうな……(もちろんBGMやSEの使い方もすごい)
フューチャー・イヴでは「初音ミクはどこにもいないからこそどこにでも存在する」というようなことを思ったけれど、アフターエポックスでも「初音ミクは誰でもないからこそ、私でありあなたである」ということを感じた。もちろんキャラクターなんだけど、MV中のミクの姿は自分ともどこか重なって見えてしまう。
私達はあくまで主人公を通してポケモンに触れてきたわけだけど、「主人公」ではなく「自分自身」がこの世界にいるような感覚はトレーナーなら誰もが味わったことあると思う。
特に最近のポケモンは「(主人公とは別に)あなた自身もこの中にいる」というのを強く意識していると思うんです。そんな中でアフターエポックスを見ていると、「主人公」ではなく「私自身」がこれまでポケモンをプレイする中でしてきた体験をミクが代弁しているような気持ちになる。「ヒカリ」ではなく「マサル」でもなく、自分の旅を思い出す。
ポケモンという作品の総括を、初音ミクという「誰でもない存在」で描く。そうすることで今までのストーリーが私やあなたの旅になる。ポケモンと初音ミク、両方の特性を最大限生かしたからできた、最高の作品。ポケミクの意味を最も感じられたかも。だからこそ「追加楽曲」枠なのもわかる。
個人的には『出会った日の姿には戻れないけど…』のところがダイパのターンなのもありグッときてしまう。BDSPをあまり楽しめなかった日の「自分もポケモンも変わってしまったんだね…」って感覚を思い出すので。でもそれは悪いことではなく……あの日あの時出会えたから楽しめたものがあり、その感動の延長に今も触れている。誇らしくてすごいことだと思う。
●いよわ『クリエイトがある』
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甘酸っぺえ~~~!!!いや甘ずっぺえよ。思春期、創作に傾倒していた人間にどうしてこんなに刺さるんだ。「いよわにもこんな時期があったのね~」を通り越して「曲になるくらいみんなこんな思春期送ってたんですか……」と恐ろしくなる。あの周囲も自分も見えないのに無敵だった多感な時期。なんなんだこれ。
まあ直接そういう曲ですとは言ってないんだけども、1つピースがハマるだけで一見不可解な歌詞が「あ~~~~!!!!あの頃のね!!!!!」って全部身に覚えのある記憶と結びつくのがすごい。空想が忙しすぎてなにも手につかなくて、自己表現の暴力に夢中になっていた頃の。あの楽しさも痛みも鮮明に蘇ってくる。
今思うと独りよがりでつまらない創作でも、確かにあの時は救われていた。そしてそんな思春期のつまらない自己表現を『そこにはクリエイトがある』と評してくれることの頼もしさよ。あんたほどの人がそういうなら、あの衝動を少しは認めてみようと思うよ。
いわゆる黒歴史を表現した曲で、活動初期を思い出させるような曲を持ってくるところもすごいと思う。忙しなくて心地がいいゴリゴリの不協和音。自分がいよわさんの曲を聞きはじめたころはこういう印象が強かったなあと思いつつ、今や最強ボカロPの1人である氏でも過去作を振り返ってこう思うことがあるんだろうか。
個人的にはポプリさんや1000年生きてるに続く創作賛歌曲だと思う。インターネットって学生の黒歴史ノリをやたら揶揄する悪癖があるけど、振り返ったら痛いのは何より輝いてた証拠。あの頃もクリエイトガールも大事にしよう……。
●SAWTOWNE『M@GICAL☆CURE!LOVE❤SHOT!』
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本当に令和に出た曲なんですか。それにしれは平成の萌えが詰まりすぎている。
そしてなにより驚いたのが、英語詩なんですよね!!というか国外のクリエイターさんなのか……?あの時代の萌えが詰まりすぎてて勝手にその頃からの歴戦の勇者かと思ったが。
自分ですら世代ではないので解説とかはできないけど、デフォルメキャラとか注射器の感じはOSTER projectを思い出させるのがボカロ黎明期も感じてしまいますね……。というか途中の3Dパート、縦横比とか画質とかポリゴンの感じ3DSすぎない!!?project miraiめちゃくちゃ遊んでたから連想してしまうよ。
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●電歌シャー
電車の音から作ったUTAUですって!すごい!!ちゃんと声として聞き取れるのもすごいし、ゴトゴトした感じも残ってるのが無生物音源らしくてクセになる。
この独特な歌声に魅入られてしまって、シャーちゃん歌わせたさに久々にUTAU起動してしまったレベル。同時期に生まれた無生物音源である道標キロくんとすでにコンビ扱いされてるのもかわいくて、個人的に今イチオシの音源です。
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▲群を抜いて調声が上手い!!ガタンゴトンしたノイズも心地いい。特に、た行の残り方がいいなあ。
●¿?『ちそさま』
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怖いっつーの!!!!!!
キャラソンもだいぶ揃ってきた(なんと残り1人)まいごえん。ゲーム本編も佳境に入り、ここにきてダイゴロウのキャラソンとな。
ダイゴロウといえばゲームでも漫画でも一人目の脱落者としてお馴染みで……。ゆえに描写できることも少なく(←ネタバレ反転)、どう調理されるのかな~と思っていたらこ、こんなの聞いてないが。
とにかく今までのタイアップ曲でもぶっちぎりで怖かった。曲もMVも本気出しすぎている。flower歌唱なのは意外だったけど、音のひっくり返り方がめちゃくちゃ怖いので納得しかない。
本編も踏まえるとめちゃくちゃ辛いのに、クセになって何回も聞いちゃうんだよなあ。ごめん、ダイゴロウ……。
●その他今月よく聞いた曲
・スナックバス江『目を閉じておいでよ』
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▲アニメのバス江は見てないんですが、見事曲選に釣られてしまった。エンディングverのたどたどしさもかわいいけど、配信verの本気歌唱が良すぎる。二人の声の調和も良い。ただ、この曲をいきつけスナックのチーママと歌う山田はドスケベだと思う。原作も読み進めてるんですけど、めちゃくちゃ面白いですね
・25時、ナイトコードで。『Bad Apple!! feat.SEKAI』
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▲プロセカと東方のコラボ企画。ただのカバーかと思ったらアレンジもされていて、令和のBad Apple!!として非常に良い。映像も有名な影絵MVをオマージュしつつ新しい解釈で作られていて、リスペクトと新しさをどっちも感じられるいいコラボだと思う
・ツミキ『キティ』
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▲こちらもプロセカ関連曲。やはりプロセカの属性分けだと好みが大分25時、ナイトコードで。に偏ってしまう。かなりわかりやすい趣味をしている。キャラクター自体には詳しくないんだけど、メンバーが儚げな歌声と力強い歌声で半々なメリハリがいい。あとレンの調声かなり好きかも
・t+pazolite『It`s a ‘10’ Bats』
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▲いいねしてくれた相互さんの絵柄を曲で例えるというタグでフォロワーさんにカミハっぽいと推薦していただいた曲。普段聞かないジャンルだけど好きな感じの音がたくさん入ってて、気分がアガる!オシャレな曲で例えてもらったのも嬉しいですね
・のぼる↑『白い雪のプリンセスは-Re:incarnation-』
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▲原曲が昔から好きだったんですが、ここにきてのセルフアレンジはアツい!!14周年というのも信じられないけれど、改めて聞くと今でも色褪せない名曲だと実感。新しくMVがついたのもあって、当時を知らない若い子にも聞いてもらえると嬉しなあ(すでにそう言えるだけの歴史がボーカロイドにあるのもすごい)
●爆上戦隊ブンブンジャー バクアゲ10『ウキウキなミッション』
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5月のブンブンジャーもよかった!代表して何話を取り上げるか迷ったものの、個人的には10話が特に好きかな。
調達屋振騎玄蕃が届け屋に初挑戦!ミッション失敗即爆発!ってだけでもう面白い。8、9話で山場を越えた後の一発目がこれなのも一気に緊張が解けた感じして好きですね。
そして振騎玄蕃さんって7話で加入してから爆速で8話の解散騒動を経験している男なので……加入後初ともいえる掘り下げ回なんですよね。
ブンブンジャーとして、そして届け屋として初めて?サポートではない仕事に挑戦してみる(この言い方がもうかわいい)玄蕃も良いんですが、これまであまりなかった未来との絡みが愛らしい!!玄蕃って多分年長者だし調達屋歴も長そうなのに、そんな玄蕃を案じて「一人じゃ危ないでしょ!」って心配してついてくる未来の良さ。未来って本当に誰と絡んでも良さがあるなあ。
そんな未来だけじゃなく「届け物」を狙ってくるハシリヤンまでも爆発を恐れててんやわんやするのも面白いし、鯉のぼり苦魔獣も5月5日の放送にピッタリ。先週までの空気が嘘みたいに見てて楽しい回だったんですが、なによりもよかったのがアクションのかっこよさ!!
この ASMR 7カウント以内に敵を一層するの、さすがにかっこよすぎる。異種武器二刀流!オタクは異種武器二刀流大好き!!
ここだけじゃなく、素顔アクションも本当に良かった。演者が動ける人とは聞いてたけど、まさかここまでとは。
▲アクションのかっこよさは続く11話もかなりよかった
それから玄蕃の本心が少し見えるところも好きです。さっきまで余裕綽々で戦ってたとは思えないくらいシュンとした顔で「自分のことになると本気がわからない」と告白するシーンにはすごくグッときてしまった。
玄蕃って1話以前から協力者である関係上大也やシャーシロとはなんとなく旧知の仲っぽい雰囲気があるんですけど、自分のことを素直に打ち明けられたのはこれまで絡みが薄かった未来だからこそだと思います。
玄蕃にとっても未来は今まで自分の世界にいなかったタイプの人間で、そして新しい仲間だから、そのまっすぐさに本心で応えたかったんじゃないかな。未来はブンブンジャーをブンブンジャーたらしめてるレディだと思うので……ブンブンジャーに加入したことで間違いなく玄蕃の世界も広がっているんだと思いました。かつて「サポーター」だった玄蕃だからこそ、加入してから生まれた繋がりで少し心が溶けてきているのがいい。
ED前のやり取りも過去最高にかわいかったし、お気に入りの回です。